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小学館集英社プロダクション "異色経営"の正体 IPからイベント、保育園、刑務所までの何でも屋

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有力作品の権利を預かるエンタメ総合商社だが、それだけではない。

イベントでの小学館集英社プロダクションのブースの様子
アニメ業界のイベントにも大々的に出展している(写真:編集部撮影)

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世界的ブームが続く日本のアニメ・エンタメ。3兆円経済圏の頂点に君臨するのが、漫画原作を供給し、IP(知的財産)の創出源となる大手総合出版社だ。
集英社、講談社、小学館は何を考えているのか。本特集では、非上場会社ゆえに謎の多いそのビジネスの奥の院を解剖する。

漫画やアニメなど、多様なプレーヤーがひしめくエンタメ産業。その中でも、ひときわ特異な企業がある。小学館集英社プロダクション、通称「小プロ」だ。

同社の主要事業は、親会社の小学館などが有するIP(知的財産)の権利を預かり、あらゆる方面で利活用を促すライツビジネスだ。玩具メーカーや広告代理店などに対し、IP保有企業に代わって商品化や販促使用の営業をかけ、企画やデザイン、監修に至るまでの広範な業務をこなしている。

商品化を担う代表的なIPが、小学館の長寿コンテンツ『ドラえもん』だ。玩具からベビー用品、直近では伊高級ブランドのグッチとコラボした20万円以上の衣類やバッグまで実現させた。また、稼ぎ頭の『ポケモン』と成長著しい『名探偵コナン』については、商品化にとどまらず、劇場アニメの製作委員会にも出資している。

集英社や講談社が同様の機能を社内に備えているのに対し、小学館だけがこれを切り出す背景にあったのが、1960年代に大ヒットした『オバケのQ太郎』だ。その人気にあやかろうと、菓子メーカーからはタイアップの希望が殺到。社内リソースでさばききれなくなり、「小学館プロダクション」としての発足につながった。

“エンタメの総合商社”へと進化

79年に『ドラえもん』のライツビジネスを始めると、90年代には『ポケモン』などのアニメ製作に進出。さらに、海外へのアニメ番組販売や漫画・アニメのイベント企画・運営など、“エンタメの総合商社”へと進化してきた。

2008年には、同じ一ツ橋グループの集英社からも出資を受け、現在の社名に変更。18年に集英社ビジネス推進室を立ち上げるなど関係強化に努め、近年は『SPY×FAMILY』や『怪獣8号』などの大型IPを託されるに至った。あるアニメ制作会社幹部は「『SPY×FAMILY』が大口クライアントのサントリーとコラボできたのは、小プロの営業力があったからだ」と評価する。

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