「機能はそろっている、現場がパズルを組み合わせる」

工藤大丈(くどう・だいじょう)/KADOKAWA 営業宣伝グループ担当執行役員 グローバルライツ局局長。1997年角川書店入社。2007年富士見書房ファンタジア文庫編集部編集長。13年角川書店第四編集部部長。21年KADOKAWAアニメ事業局局長を経て、24年4月より現職(撮影:佐々木 仁)
世界的ブームが続く日本のアニメ・エンタメ。3兆円経済圏の頂点に君臨するのが、漫画原作を供給し、IP(知的財産)の創出源となる大手総合出版社だ。
集英社、講談社、小学館は何を考えているのか。本特集では、非上場会社ゆえに謎の多いそのビジネスの奥の院を解剖する。
昨年10月、出版とアニメのライセンス部門を統合して、ライセンスの管理を担うグローバルライツ局が新設された。工藤大丈局長に、メディアミックス戦略と今後の展望を聞いた。
──メディアミックス展開におけるKADOKAWAの強みをどう分析していますか。
まずは持っているIP(知的財産)の数が多い。さらに実写映画やアニメも1970年代、80年代から自分たちで作ってきた。ゲーム会社も持っており、動画配信サービスや教育事業も展開している。
国内でこれだけの機能を持っているのはおそらく当社だけだ。規模の大小はともかく、ディズニーやマーベルに設計思想は近いと考えている。
IPが大きく羽ばたくことが重要
──機能間の連携はできていますか。
以前は、出版社として本が売れればいいという意識を持っている時期が長かった。出版事業は採算分岐点を超えた後の利益がバーンと上がっていくビジネスモデルで、右肩上がりで成長してきた。その中で、IPの2次利用で稼ぐことはそれほど重要視されていなかった。
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