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「セクシー田中さん問題」 同業が語る本当の論点 小学館と日本テレビ放送網で分かれる見解

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「見切り発車」から生まれたコミュニケーション不全。

調査報告書と『セクシー田中さん』単行本書影
公表された日テレと小学館の調査報告書。ドラマ化の許諾条件、という重要な点で、両社には認識に違いがある(左写真:編集部撮影)

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世界的ブームが続く日本のアニメ・エンタメ。3兆円経済圏の頂点に君臨するのが、漫画原作を供給し、IP(知的財産)の創出源となる大手総合出版社だ。
集英社、講談社、小学館は何を考えているのか。本特集では、非上場会社ゆえに謎の多いそのビジネスの奥の院を解剖する。

小学館の女性向け漫画雑誌で連載中だった『セクシー田中さん』をめぐる問題が、版権ビジネスのあり方に重い課題を投げかけた。

作者・芦原妃名子氏は、ドラマ化をめぐるトラブルの末に1月29日に命を絶った。ドラマは日本テレビ放送網が制作し、2023年10月から全10回が放送された。

芦原氏の死から約4カ月後。5月末にはドラマ制作を担当した日テレ、6月3日には小学館が、それぞれ調査報告書を公表した。互いの認識が食い違う点は多く、真実は依然としてやぶの中だ。漫画のアニメやドラマ化に関わる同業者は、何を思うのか。

曖昧だったドラマ化条件

「ドラマ化に対する作家の向き合い方が事前にわかっているなら、原作側は初期段階から『先生が直せといったら絶対に直すことが原作を利用する条件だ』と明確に契約で提示すべきだった」。そう語るのはある映像プロデューサー。

漫画の映像化では、表沙汰にならないものを含めて今回と似たトラブルは多々ある。「映像化はプロに任せる」と関与しない作家もいれば、原作への忠実さを求め、細かに監修する人もいる。芦原氏の場合は後者であり、小学館もそれを認識していた。

芦原氏はドラマ化の許諾条件として、①原作の漫画に忠実に作ること、②連載が未完であるため、ドラマの結末部では原作者が粗筋からせりふまで用意すること、をあげていた。

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