似たような事業を展開する総合出版社でありながら、会社のカラーはだいぶ異なる。
「3大出版社」と一括りにされるが、働く人や組織のカルチャーは大きく異なる。集英社、小学館、講談社のそれぞれに似つかわしいキャラクターを、社員取材に基づき、動物で表してみた。
集英社は「ワシ」だ。漫画界のトップブランド「ジャンプ」を有し、足元の利益水準も頭一つ抜けるその様は、食物連鎖の頂点、猛禽(きん)類にふさわしい。
「やはり集英社はフロントランナー。自分たちがかっこいいと思って仕事をしているのがわかる」(講談社社員)。「のし上がってやるぜ、的な競争心を集英社に感じる」(小学館社員)。
漫画部門を中心に、編集者同士でも、ヒットをめぐってシビアな競争が繰り広げられる。そうなると、ギスギスした職場環境を彷彿とさせるが、意外にもその空気はないという。
「割とみんな仲はいい。同じ部署の仲間同士でしょっちゅう食事をしている。社内でつるむことが多いので、社外の人から見ると『内向きで、気持ちが悪い』と思われるかも」(集英社・編集関係者)
究極のボトムアップ組織
組織としての集英社は、究極のボトムアップ組織である。新媒体や新事業も、組織改変も、現場の社員を中心に立案し、経営側が追認する形が多い。
その現場中心主義は企業組織の常識を超越しており、時には、人事の発令があっても社員が気に入らなければ無視をし続け、発令自体がなかったことになるケースもある。
「この会社には経営がない」と集英社の関係者は言う。「経営陣も基本的に現場の延長で出世している。だから経営者目線で下の人に対して言うことが、あまりないのだろう」。その分、現場のリーダークラス(編集長など)の決断が、会社で大きな役割を担ってくる。
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