巨額M&Aの狙いとは。
電子コミック配信サイト「めちゃコミック(めちゃコミ)」を運営するインフォコム。同社は6月、米投資会社ブラックストーンによる株式公開買い付け(TOB)を受けると発表した。
買収総額は2756億円。ブラックストーンが日本で行う買収案件では、2021年のアリナミン製薬(武田薬品工業から買収、2420億円)を超えて過去最大規模だ。
インフォコムの時価総額は買収が報じられる前の4月末時点では1500億円程度だった。ここまで高評価を受けたのは、めちゃコミの高成長を見込んでいるためだ。
独占配信作品や独自IPからヒット作
めちゃコミは月間利用者数2800万人を誇る国内大手の電子コミックサイト。インフォコム社内で06年に開始した事業であり、竹原教博会長がめちゃコミの“生みの親”、黒田淳社長が“育ての親”だ。その黒田社長は24年3月期決算が好調だった理由を「独占配信作品やオリジナルIP(知的財産)からコンスタントにヒット作が出るようになってきたため」と説明する。
韓国の人気作品を独占配信した『オークの樹の下』は23年12月の配信開始から1カ月で売り上げ3億円を超えるメガヒットとなった。
新人発掘にも力を注ぐ。作家の獲得・育成を行う「めちゃコミッククリエイターズ」では年24回の作品公募を実施。編集部による選考を経て、これまでに15作品が有料連載デビューした。かつて出版社の編集部が担ってきた役割も果たし始めている。
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