進取の精神を持ち、意欲あふれる41歳の若社長。だが統率力に課題も。
揺りかごから墓場まで──。そんなフレーズが似合う大手総合出版社が小学館だ。
1922年、小学生向けの学習雑誌の刊行から始まった。その後、幼児向け媒体や図鑑、女性誌や週刊誌、コミック、『世界美術全集』といった芸術分野などに、出版ジャンルを拡大してきた。
IP(知的財産)ビジネスにおける特徴は長寿IPの存在だ。
まずは『週刊少年サンデー』で94年から連載が続く『名探偵コナン』。今春公開の劇場アニメは邦画史上10本目の興行収入150億円突破を成し遂げるなど、今なお人気が加速しているドル箱IPだ。また、誕生から50年超が経つ『ドラえもん』の人気も健在。両IPが今なお、相応のライツ収入をもたらしている。
業界においては、東京都千代田区一ツ橋を拠点とする「一ツ橋グループ」の盟主として、集英社や白泉社などを束ねる存在だ。会社の株式は創業家の相賀(おおが)一族が率いる財団やグループ各社が有しており、相賀家の跡継ぎが代々トップに就くファミリー経営で知られる。
業績面では見劣り
一方で、“事実上の子会社”とされる集英社、ライバルの講談社が売上高2000億円前後、純利益100億円超を稼ぐのに対し、小学館は同1088億円、21億円(ともに2024年2月期)と、業績面では見劣りする。
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