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なぜ東宝は“アニメ業界の新横綱”に駆け上がることができたのか 「5人体制の後発組」⇒「アニプレックスとの二大巨頭」へと変貌を遂げた軌跡

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東宝のアニメレーベル、TOHO animation。2012年に、わずか5人のアニメ事業室として発足した(記者撮影)

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「立ち止まらないでください!」

3月下旬の東京ビッグサイト。2日間で15万人を動員したアニメの祭典「AnimeJapan 2025」は、日本のファンからコスプレイヤー、訪日外国人まで、多様な来場客でごった返していた。

その会場で、スタッフが頻繁に注意しなければならないほど、ひときわ人だかりができるブースがあった。皆がスマホのカメラを構える先には、「ハイキュー!!」や「呪術廻戦」「SPY×FAMILY」「怪獣8号」「葬送のフリーレン」「薬屋のひとりごと」と、近年のアニメ市場を席巻してきた作品が続々と映し出されている。

少し離れた場所から、「TOHO animation」と掲げられたブースに目線をやりながら、あるアニメ会社の首脳はこう呟いた。「東宝は、しっかりした作品をたくさんやってますよね」――。

アニメの売上高は2年で倍増

映画配給大手の東宝が、アニメ業界での地位を急速に高めている。2024年、動画配信サービス・U-NEXTが発表した「アニメ 見放題部門 人気作品ランキング 2024」にランクインした10作品のうち、トップに輝いた「薬屋のひとりごと」を筆頭に、東宝が製作委員会の幹事を務めるTOHO animationレーベルの作品が最多の5作を占めた。

強力なラインナップを抱えることから、2年前に242億円だったTOHO animation関連の売上高は、2025年2月期には554億円へと急成長。あるアニメ会社の社員は「アニメ業界はアニプレックスと東宝の二大横綱だ」と、そのプレゼンスの高さを表現する。

そんな東宝だが、実はアニメ製作では後発組に位置付けられる存在だ。

「ワンピース」や「ドラゴンボール」などを手がけ、日本初の本格的なアニメ製作会社として知られる東映アニメーションの前身・日本動画が立ち上がったのは、戦後間もない頃。DVDなどビデオパッケージが収入源だった時代からしのぎを削ってきた同業各社の間では、歴史が浅いとされるアニプレックスですら、前身組織が1995年に発足している。

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