有料会員限定

〈独占インタビュー〉東宝、創業家社長が明かす「業績急伸」の神髄 映画・アニメで大暴れ、"無双状態"をどう築き上げた?

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
東宝の創業者、小林一三のひ孫に当たる松岡宏泰社長。2022年の社長就任以前は、長く海外畑を歩んできた(撮影:梅谷秀司)

特集「シン・東宝」の他の記事を読む

東宝が4月に発表した2025年2月期決算は、売上高・営業利益ともに過去最高を更新した。『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』や自社幹事作品の『変な家』など、映画配給でヒット作を連発。前期公開の『ゴジラ-1.0』や人気アニメシリーズの配信権収入も貢献した。
急速に業績を伸ばす東宝を率いるのは、創業家出身の松岡宏泰社長だ。創立100年を迎える2032年に向けた長期ビジョンでは、営業利益を最大で1000億円まで引き上げるとうたう。自前主義が色濃かった経営方針を一転させ、近年はM&A(合併・買収)も積極的に仕掛ける。
市場からの期待感は高まり、ここ5年で株価も2倍に上昇した。そんな日本エンタメ産業の新主役は今、何を考えているのか。松岡社長のインタビューを前後編にわたってお届けする。

“将来のゴール”を決めた理由

――前期はアニメの快進撃や『ゴジラ-1.0』の貢献だけでなく、主幹事を務めた実写映画『変な家』の大ヒット、好調だった演劇事業など、多くの部門が結果を残しました。

演劇や映画営業部門、アニメも海外も最高益だった。すべてのチームが最高のパフォーマンスを発揮してくれた。

興行市場がコロナ前まで戻り切らない中、映画館のTOHOシネマズもいい水準まで利益を戻してきている。不動産事業では、あまり多くの投資ができなかった中でも、ちゃんと利益を残してくれた。

――前中期経営計画期間(2025年2月期までの3年間)においては、過去最高の営業利益を大幅に更新しました。

あの中計を作ったのは、まだコロナから抜けきれていないときだった。エンタメ業界が不要不急といわれる中、この業界が何のためにあるのか、われわれは社会のために何ができるのかを考えた。

当時社長の島谷(能成・現会長)から指示を受けた私を含む幹部3人で話していくうちに、将来に向けたゴールの必要性を感じた。映画は3年ぐらい先まで、ある程度作品が決まっているし、不動産も3年先のビルはみえてくる。そうすると、3カ年の中計を将来のゴールといえるのだろうか、と。

そこで、東宝が100周年を迎えたときにどうあるべきかという10年計画「ビジョン2032」を設定した。この目標に行き着くべく、コロナから脱出した最初の3年で何ができるのか。われわれは計画こそ立てたが、各事業本部やコーポレート本部が作戦を練り、作品を作った結果の積み上げが営業利益だ。600億円超の利益を出せる組織に成長したことは、社員にとっても自信になったのではないか。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD