――8月の洋上風力撤退表明後、中西社長は経済産業相や千葉県知事らから直接「今でも信じられない」「御社に振り回された」といった言葉を投げかけられました。どう受け止めましたか。
事業者として選んでいただいている中で期待に応えられなかったのは、会社のトップとして本当に申し訳ないと、経産相や知事には心からお詫びを申し上げた。
ただ一方で理解してほしいのは、それだけ世の中が変化しているということ。メディアは「安値受注だった」「計画性がない」と指摘しているが、事業環境は大きく変わり、費用は当初の想定と比べて2~2.5倍に膨らんだ。その前提で値段を提示して入札したら案件は取れないし、そのような高値で再生可能エネルギーをやるべきか、という議論はあると思う。
――具体的に何のコストが上昇したのですか。
洋上風力の設備には風車の部分、海面下の基礎部分、陸上側の変電所までつなぎ込む部分があるが、3つの部分すべてでコストが上がっている。
正確に言えば、当初の想定と比較して建設費用が約2倍になった。それとは別に、運転期間中に部品を取り換えたり、メンテナンスをしたりする費用がある。洋上風力は再生可能エネルギーなので燃料費はかからないが、メンテナンスでは部品代や人件費が必要になる。こうした変動費が2.5倍くらいに上昇している。
円安が進行し、(2021年の入札当時)1ユーロ=130円だったのが、今は170円台だ。当時に比べ金利も上昇している。意外に思われるかもしれないが、油価が上昇しているのも1つの大きな要素で、資材の輸送費なども上がった。材料費も高騰しメーカーが見積もった数字をそのまま比較すると2倍になっている。



















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