「航空機リースはわれわれに強みのあるど真ん中の事業。エア・リースへの出資は間違いなく成功する良い投資案件だ」
住友商事の上野真吾社長は胸を張る。同社はSMBCアビエーションキャピタル(AC)や投資ファンドなどとともに、ニューヨーク市場に上場する米航空機リース大手「エア・リース・コーポレーション」(ALC)を2026年中に共同買収する。買収額は74億ドル(約1兆0900億円)に上る。住友商事の出資比率は37%超(経済持ち分ベース)で総額3000億円を出資。住友商事にとっては過去最大級の投資案件だ。
他商社の追随を許さないビジネス
グループ会社のACと今回出資するALCの保有機材を合算すると1840機(管理機材や発注残を含む)となり、世界最大手のエアキャップ・ホールディングス(アイルランド)の2074機に肉薄する。最前線で指揮を執る輸送機・建機グループの日下貴雄CEOは、「民間航空機リースでは他商社の追随を許さない地位と収益を築く」と自信を見せる。

航空機リースは活況だ。コロナ禍で航空各社は保有機材を売却。米ボーイングの機材納入遅延も重なり機材供給が停滞する。「いま発注してもデリバリーは早くて4~7年後」(エアラインの機材調達担当者)というありさまだ。一方、需要が急回復したことで機体リース価格は上昇。「コロナ前後でリース価格は平均3割ほど上昇した」(同)という。
大和証券の永野雅幸シニアアナリストは、「航空機リースは機体保有数やノウハウの深さが物を言う業界で、住友商事がこの分野で負ける可能性は低い。26年度の純利益で250億円ほど、その後も安定した利益をもたらすだろう」とみる。
もっとも、日下氏は「スケールメリットだけを追求するつもりはない」と言う。「保有機材数増加による規模の拡大より、資産効率を上げていくことを主軸にしたい。ACやALCは保有機材を増やすことなく、顧客やパートナーの機材の管理数を増やしていく。バランスシートの拡大を抑制しつつ、収益の多様化を目指す 」(日下氏)。
ただ、この大型出資を発表した翌日(9月3日) の住友商事株の終値は4209円と前日比1.3%安となった。「全社の純利益が5700億円という規模の中で、利益貢献は250億円ほど。株価押し上げ効果が明確にはならなかった」(永野シニアアナリスト)からだ。



















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