
ヨーカ堂などを抱えるヨークHDを、ベインは8147億円で買収する。勝算はどこにあるのか?(撮影:梅谷秀司)
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イトーヨーカ堂の歴史に新たな1ページが加わる。
アメリカの投資ファンド、ベインキャピタルは3月6日、セブン&アイ・ホールディングス傘下で、ヨーカ堂やヨークベニマル、ロフト、赤ちゃん本舗などを束ねるヨーク・ホールディングス(HD)を8147億円で買収すると発表した。今年9月にも取引を完了させ、ベインは最終的にヨークHDの株式の60%を握る。
ヨークHDの売上高は、大部分をヨーカ堂やベニマルといったスーパーマーケットが占めており、業績が低迷するヨーカ堂のテコ入れは急務だ。老舗スーパーの再建に勝ち筋はあるのか。ベインの西直史パートナーを直撃した。
チームでベニマル150店を視察した
――ヨークHDへの投資を決断した背景を教えてください。
アウトドア用品のスノーピークやアパレルのマッシュHDなど、日本の消費財セクターには多くの投資をしてきた。オンライン化の余波で小売業が低迷するという見方もあるが、やれることはまだまだある。
セブン&アイHDは成長市場であるコンビニ事業に経営資源を投下してきたが、ノンコア事業であるスーパーや専門店には注力しきれていなかった。仕方ない側面もあるが、もったいない。経営のマインドセットをヨークHDに集中させる必要がある。
この点、われわれには日立製作所から日立金属(現プロテリアル)を、オリンパスから(工業用顕微鏡などを手がける)エビデント社を買収した実績がある。コングロマリット企業が一部の事業を切り出し、独立させるなら、(投資ファンドの下で)再び成長させられると考えた。
――ヨークHDは約30もの事業会社を束ねていますが、売上高の8割以上はヨーカ堂やベニマルといったスーパー事業が占めます。再建の要はスーパー事業のテコ入れでしょうか?
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