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産業界を騒がせているセブン&アイ・ホールディングスの買収問題。カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールが7兆円規模の買収提案を行っている。
これに対し、伊藤順朗副社長ら創業家は9兆円規模のMBO(経営陣による買収)の対抗提案を行い、一時は争奪戦の様相を呈していた。しかし創業家陣営は2月27日までに「買収に関する正式提案に必要となる資金調達の目途が立たなくなった」とセブン&アイに通知。MBO計画は白紙となった。
日本企業に対する買収、またMBO案件として過去最大規模で、歴史に残る案件だっただけに、破談には大きな衝撃が広がった。3月6日にはセブン&アイは井阪隆一社長の退任を発表。MBOの頓挫がトップ交代につながった格好だ。
MBOの舞台裏では何が起こっていたのか。東洋経済の取材で、その内幕が徐々に明らかになってきた。
条件はどんどん悪くなった
「創業家のFA(ファイナンシャルアドバイザー)は何をやってるんだ」。昨年の終盤、創業家への融資を調整していた大手金融機関の関係者はいらだちを隠さず、吐き捨てた。想定よりエクイティ(自己資本)の調達に遅れが生じていたことを受けたものだった。
当初から課題と指摘されていた、9兆円という巨額資金の調達はやはり難航した。
創業家陣営は当初、昨年12月までに買収提案への対応を検討するセブン&アイの特別委員会(社外取締役で構成)の賛同を得て、2月までにMBOを完了させたい考えだった。
11月にはファミリーマートを傘下に持つ、総合商社の伊藤忠商事から1兆円超のエクイティ拠出を取り付けたことが明らかになり、総合商社や通信、鉄道会社など、幅広い国内企業にも出資を持ちかけた。
ただ金策は順調には進まなかった。メガバンクが難色を示し始めたのだ。
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