「セブン買収合戦」、創業家の9兆円MBOに黄信号 2025年2月中に買収したいが、資金集めに苦戦か

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
もはや国家プロジェクトレベルのMBO。伊藤順朗副社長ら創業家は来年2月までの買収完了を目指していたが、足元で実現が疑問視されている(撮影:今井康一)

カナダのコンビニ世界大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているセブン&アイ・ホールディングス。11月にはセブン&アイ副社長である創業者の次男の伊藤順朗氏と、大株主で、伊藤氏ら創業家が役員を務める資産管理会社・伊藤興業からも対抗提案を受けていることが明らかになった。

社外取締役で構成される特別委員会では、どちらの提案が企業価値の向上や少数株主の利益に資するのかを検討し、取締役会に答申する。現在も協議が続いている。

創業家が提案する買収額は9兆円とも伝えられている。実現すれば国内のMBO(経営陣の参加する買収)案件としてはもちろん、日本企業による買収としても史上最大規模だ。

まだ足りない「自己資金」

MBOはいつ実現するのか。創業家陣営の関係者は「2025年2月の完了が1つのターゲット」と明かす。セブン&アイ関係者も「それくらいのスピード感でないと、クシュタールに対抗できないだろう」と指摘する。

クシュタール陣営は現状、敵対的買収には慎重な姿勢を示しており、クシュタールの態度が変わる前に、MBOの実効性を高めたい考えだ。

しかし、足元で「2月中の完了は厳しい」と明かす関係者も増えている。課題となるのは、やはり9兆円の「金策」だ。

多くのMBOでは、自己資金(エクイティ)だけでなく、対象会社の資産やキャッシュフローを担保として借り入れる「レバレッジドバイアウト」(LBO)など、外部資金も活用する。資金をすべて自前で用意することが難しいだけではなく、高い投資効率が期待できるからだ。

今回の創業家による買収提案もLBOの手法をとる見通しだ。詳しくは後述するが、銀行団が巨額の融資を調整中だ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事