2025年のドル円は?「実需の円売り」は影を潜める 【前編】原油価格が下落し貿易赤字は縮小へ

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2022年から2024年にかけて為替の「需給面」への注目が高まった。経常収支の「キャッシュフロー」(実際の円買い)を試算し2025年の為替相場を展望する。

2024年は1ドル160円超えから140円割れまで動いた(写真:Bloomberg)
※本記事は2024年12月26日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

2025年の円相場見通しのポイントに関し、言及したい論点は多岐にわたるが、基本的な考え方は、需給と金利の2点に分けて整理すべきである。まず前編では従前から本コラムでも重視している需給に絞って議論したい。

結論から言えば、現時点で入手可能な情報に基づく限り、需給環境は2024年対比で「横ばいないし改善」を見込んでおきたい。

以下では、需給分析の要となる経常収支を中心に2025年のイメージを示す。経常収支は資源価格、為替、内外景気格差、地政学リスクなど、多様な材料が集約されるため精緻な予想が困難だが、ラフなイメージでも把握しておくことに価値はある。

米トランプ政権下で石油の供給は増加

まず、経常収支の仕上がりを最も規定しやすい貿易収支は、原油価格と円安のピークアウトを背景として赤字縮小が予想される。

貿易収支の仕上がりに最も大きな影響を与える変数はやはり資源価格、象徴的には原油価格である。これに関し、近年の原油価格(1バレルあたり)について通年平均を見ると、2022年に100ドル程度、2023年と2024年は80ドル程度だった。

2025年の原油価格を予想することは筆者の手に余るが、中国経済不振による需要減退から下落を指摘する声は多い。そのうえで第2次トランプ政権による石油業界への積極的な優遇策と増産要請もあって供給が優勢になるとの見方も多い。

逆に、トランプ氏の外交姿勢が地政学リスクを増大させ原油価格を押し上げるとの見通しもあるが、「過度な環境規制の巻き直しや化石燃料の供給増加を背景に資源価格が下落する」というストーリーには相応の説得力がある。

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