いま<円高のマグマ>は日本にたぎっているのか?懸念するよりむしろ起きてほしい「国内投資への回帰」「円キャリー取引」が巻き戻す条件とは
1月4日の日本経済新聞電子版に「円安30年に幕引く『地動説』 市場激変に備えを」との記事が掲載されていた。世界最大級の日本の対外純資産や円キャリー取引が巻き戻された場合、強烈な円高圧力に発展するというリスクを指摘した記事であった。
こうした言説について非常に多くの照会を受けるため、筆者なりの見解を提示しておきたいと思う。
「(キャリー取引の残高も含め広い意味での)対外資産が戻ってくると円高になる」――これは理屈上では常に警戒すべきシナリオではある。
しかし、そもそも「それ(対外純資産)が戻ってこない現状」が争点化している現状を踏まえれば、そうした展開をリスクと論じることにはやや違和感を覚える。
国内投資への回帰はリスクというより希望
同記事では「円高のマグマとなりうる在外マネーは巨額に上る」とされ、1996年から2024年までの再投資収益が累計118兆円に達していること、「とりわけ過去4年は毎年10兆円を超えた」こと、「対外純資産が99年の85兆円から24年は533兆円と25年で6.3倍に膨らんだ」ことなどが列挙されている。
これらの数字はすべて事実であり、確かに巨額である。しかし、これらの巨大な対外純資産はすべて日本国内に期待収益率が高い投資機会が存在しなかったことの裏返しである。
ということは、日本の企業部門の国内経済に対する鬱屈した期待を覆さない限り、これらが戻ってくる道理はない。この点は日々、さまざまな事業法人の方々と接している筆者の立場に照らしても、自信を持って指摘できる事実だ。
日本を忌避した結果である対外純資産の大きさを「円高のマグマ」と表現するのは事の因果を軽視しているようにも感じられる。もちろん、記事の議論は高市政権下でのマクロ経済政策が奏功し、日本経済の内需が復活に至ればという前提条件付きではある。
とはいえ、過去にあらゆる政権が内需復活を掲げ、今日に至っている。少なくとも円高や人口減少、雇用規制の硬直性などを理由に海外投資に打って出た日本企業が「円安になったから」「円金利が高いから」という資産価格だけを理由にして戻ってくるという見通しは同意できない。




















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