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アメリカで見た金融機関による生成AI活用の実態。「ガバナンス重視型」「アジリティ重視型」2つのアプローチ

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(イメージ画像:metamorworks/PIXTA)

2023年以降、世界を席巻した生成AIは、あらゆる業務を劇的に変革する「魔法の杖」のように語られ、アメリカの大手金融機関も巨額の投資を行ってきた。

ただ、筆者が25~26年にアメリカで複数の金融機関や投資ファンド関係者の話を聞く中で感じたのは、彼らが非常に冷静に、生成AIをITシステムとして評価しているということだ。

かつての熱狂的なムードが落ち着き、生成AIは“特別な技術”という枠組みを超えつつあるように見える。コスト、リスク、運用体制を含めた現実的な評価対象、すなわち「業務を支えるITシステムの一部」へと、その位置づけを変え始めているのではないだろうか。

このような過渡期において、先行する米金融機関が直面している真の課題とは何か。本稿では筆者がアメリカ滞在中に見聞きした情報を基に、生成AI活用の現在地を整理していきたい。

生成AIは“万能薬”?

数年前まで、生成AIが業務を一気に変える万能薬のように語られていたことは周知の事実だろう。さらに、導入しないこと自体が経営リスクとみなされ、出遅れへの不安が意思決定を後押ししていた時期もあった。

しかし、時間が経つにつれて、モデルの精度が上がるだけでは不十分だという現実に気づき始める企業が増えた。安定性はどうか、コストは抑えられるのか、誤作動したときの責任はどこに帰属するのか――といった論点を十分に整理することが重要だ。

実際、筆者が現地で話を聞いた中でも、議論の中心は精度競争ではなく、「この仕組みをITシステムとして中長期的に運用し続けられるのか」という点へ移行していた。

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