肉親から「人間でないものを産んだ」とまで言われ…重い障がい負う2児の"父"となった元牧師が憂う、優生思想や核家族化に追い詰められる親子たち
松原さんは、ふたりを育てながら、同様の悩みを抱えた親たちの相談を受けたり、養親を探したりといった活動を、ほぼ休みゼロで、退職金を切り崩しながら続けている。
赤ちゃんを放棄してしまう親には、多くの葛藤や事情もあるだろう。なかでも、松原さんが「心を砕かれた」と語った事例がある。それは、ダウン症候群の子を産んだ母親が、実の両親から浴びせられた言葉だった。
「ダウン症の子どもを産んだあと、すごく悩んでいるご夫婦に対してですよ、その子のおじいちゃん、おばあちゃんが、『“人間でないもの”を産んだ』って言ったというのです。新米のママパパが肉親からこんな言葉を投げかけられたら、一瞬で心が壊れますよね。さらには、『なんてことしてしまったんだ私たちは』って、自らを責めてしまってもおかしくない」(松原さん/以下同)
“人間でないもの”──。そんな言葉、言われたら誰しも崩れそうになってしまうだろう。「その背景にあるのが、優生思想ではないかと思うんです」と松原さんは語る。
「人間でないもの」のひと言を生む「優生思想」とは
「優生思想」とは、19世紀末から20世紀にかけて、進化論や遺伝学の発展とともに広がった考え方で、 フランシス・ゴルトンが提唱した「優生学(eugenics)」が起源とされている。端的に言えば、「優れた遺伝的特徴を持つ人を増やすべき」「劣っているとみなされた人の子孫を減らすべき」という考え方で、人間の尊厳を破壊する危険な思想にもつながりかねない。
「さきほどの祖父母の言葉の根底にあるのは、そういう優生思想ではないかと思いますね。綺麗なものやできるものは生き残り、そうでないものは淘汰されていくべきっていう、昔からある考え方。
世の中にはこの思想が根付いている人がいて、だからこそ劣っているとされるものや、周囲と違ったり、身体に障がいがあったりする人に対して差別的な態度をとる風潮がある。人でなくとも、モノでも同じですよね。見栄えが良くないものはスーパーで売っていないのも、これに通づるものがあるかと」


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら