ワームホールやワープドライブの科学的可能性 タイムトラベルから見る「時間」とは?
異なる時空をつなぐワームホール。
エンタメ作品では、トンネルのような抜け道を通じて、登場人物たちが過去や未来を行き来する様子が描かれます。
「現実には存在しえないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、物理学者の中にはワームホールについて真剣に研究している人が少なからずいるのです。
そんなロマンあふれる科学の不思議について、サイエンスライターの吉田伸夫氏による最新刊『「時間」はなぜ存在するのか』を通して見ていきましょう。
実際の学説とどのような関係にあるのか
SF(サイエンス・フィクション、スペキュレイティブ・フィクション)と呼ばれる創作のジャンルでは、テレポーテーション(瞬間移動)やタイムトラベル(時間旅行)などのギミックが重要な役割を果たすことがあります。こうした設定は、通常はプロットを成立させるための便法であり、科学的な裏付けは必要ありません。
例えば、アルフレッド・ベスターのSF小説『虎よ、虎よ!』は、デュマの『モンテ・クリスト伯』を下敷きにした宇宙規模の復讐劇であり、過激な物語をスピーディに展開するうえで、科学的な合理性を無視して「精神力による瞬間移動」を使うのが効果的でした。
しかし、リアリティを担保するために科学の装いをまとわせている作品もあり、実際の学説とどのような関係にあるのか気になる人もいるでしょう。
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