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ワームホールやワープドライブの科学的可能性 タイムトラベルから見る「時間」とは?

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場の理論を前提にするならば、あらゆる現象は時間・空間の広がりの中を連続的に伝わっていきます。もちろん、場の理論が絶対に正しいとは限りませんが、今のところ、かなり信頼できる仮説であり、これを基に考えを進めるのが有用であることは確かです。

場の理論は、古くから人類が思い描いてきた夢想に、厳しい制約を付けます。

人々は、一瞬にして遠い異国や過去・未来に移動するファンタジーを語ってきました。しかし、時間や空間のかけ離れた地点にいきなり移動することは、現代の物理学では容認されません。出発点と到達点をつなぐ経路に沿って、連続的に進んでいく必要があります。

まず、空間的な移動に目を向けましょう。ある地点で物体が消滅し、別の地点に再出現するという意味でのテレポーテーションは、理論的に不可能だとされます。

最先端科学の紹介記事に、「量子テレポーテーション」という言葉が登場することもありますが、これは、目的地にあらかじめ物体を送っておき、どんな状態で送られたかを遠方で瞬時に知るための技術であり、物体そのものが瞬間移動する訳ではありません。

宇宙を舞台にしたSFの場合、しばしば「ワープ」と呼ばれる特殊な高速航法で、宇宙船が遠方の星系へと移動しますが、このワープが実現される可能性はあるのでしょうか?

一つのアイデアとして、ワームホールを利用したワープが提案されています。

ニュートン力学ならば、常にユークリッド幾何学だけが成り立つ空間しか想定されておらず、2つの点を結ぶ最短経路は直線に限られます。ところが、一般相対論になると、時空はもっと自由に変形させることが可能になります。

宇宙空間は3次元の球面と考えたアインシュタイン

アインシュタインが1917年に考案した宇宙模型は、空間が球面構造をしているというものでした。ふつうの人が考える球面は、地球の表面のような2次元の世界です。ところが、アインシュタインは、宇宙空間が3次元の球面だと考えたのです。

この3次元球面は、狭い範囲だけなら(地球の表面が部分的には平面に見えるのと同じく)3次元のユークリッド空間のように見えるのに、ある方向にまっすぐ進んでいくと、(ちょうどマゼランの艦隊が地球を一周したように)宇宙を一周していつの間にか元の地点に戻ってくるというものです。天の北極(北極星の方向)と南極に向かって逆方向に進む2隻の宇宙船があったとすると、互いに充分に遠ざかったと思ったら、突然、別れたはずの相手が正面に現れます。

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