「入院より通院が圧倒的多数に」“働くがん患者”を支える企業と社会の急速な進化

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最近のがん患者は、入院して点滴ばかり受けているわけではない(筆者撮影)

がん患者といえば、病院のベッドに横たわって点滴を受けている姿を想像するかもしれない。しかし、現実は違う。特定日に全国の1万2334施設(病院6481施設、一般診療所5853)を対象に調べた厚労省の患者調査(令和5年)によると、がん患者の内訳は外来が18万6400人、入院が10万6100人で、外来患者の方が1.75倍も多いという結果が出ている。

それだけではない。国民生活調査(令和4年)によると、がんの通院患者は全国に約105万人いるが、厚労省によると、その半数約50万人が通院しながら仕事をしているのだ。

筆者も、昨年春に膀胱がんが発覚、肺にも転移しており、ステージ4との診断を受けたが、こうして原稿執筆の仕事を続けている。

入院中の病室で仕事をしている人も

「山田さん、今日もお仕事をしたんですか?」

入院中、夕食後に体温や血圧の測定に来た看護師さんが、テーブルの上のパソコンを見て尋ねてきた。その日は幸い体調が良かったので、昼食後、2時間ほどパソコンで原稿を書くことができた。

「ええ、看護師さんたちのケアが素晴らしいので体調が良く、仕事がはかどりました」と笑いながら質問に答えた。

病室にパソコンやタブレットを持ち込んで仕事をしている患者は一定程度いるようだ。筆者が入院していた病院では、病棟にWi-Fiが設置されていたので、ネットでの調べ物も自由にでき仕事をするうえで本当に助かった。こうした通信環境の整備が進んだこと、コロナ禍における就労スタイルの多様化でリモートワークが日常化したことも、病室での“仕事促進”につながったのかもしれない。

がん患者全体の仕事の状況を調べてみると、データがいくつかあった。

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