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公務員の会食にお酒を禁じた中国だが、社会やネット上で大きな反発。背景には中国経済の苦境がある

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公務員の会食で飲酒・喫煙が禁止され、中国社会に衝撃が走った。背景には民衆の不満がある。

中国の代表的な高級酒「貴州茅台酒」も打撃を受けている (写真:Getty Images)

中国政府が今年5月に発表した事実上の「公務員禁酒令」が波紋を呼んでいる。民間の所得が低迷、失業率も高まる中、身分や収入が安定した公務員が野放図な飲み食いを続ければ、民衆の怒りに火をつけかねないとの危機感がその背景にある。茅台酒など高級酒のメーカーの株価は急落、会食の自粛ムードも広がり、もともと官需頼みの「公務員経済」の色彩が強い地方都市を中心に無視できない影響が出始めている。

中国共産党中央と国務院(内閣に相当)は5月半ば、連名で「党政機関が節約を励行し浪費に反対する条例」の改正版を公布。従来の曖昧な表現を改め、「公務員の接待や会食には酒、たばこを供してはならない」と明確に規定した。

嘔吐物を詰まらせて死亡した副書記も

加えて監査と責任追及の権限を明確化。これまで組織内の上位機関に管理監督の責を負わせていたが、今後は党の正式な規律検査機関が監督、責任追及すると定めた。仮に党の正式機関に摘発されると、公務員にとっては「一生の汚点」となりかねないため、この改正のインパクトは大きかった。

実際、酒に絡む公務員の不祥事は絶えない。今年4月、安徽省宿松県で地区の幹部が昼間から宴会を開き、飲食代金を踏み倒した揚げ句、県の副書記が嘔吐物を喉に詰まらせて死亡する事件が発生。党員ら15人が処分された。

また同月、湖北省黄梅県でも勤務時間中の宴会で地方幹部の一人が急死した。これら事件では地元政府の組織的な隠蔽工作も明らかになり、世論の憤激を買った。

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