生命に関する「ハードプロブレム」
科学者も哲学者も等しく悩ませる3つの大問題、それは、物質の起源、生命の起源、心の起源である。
たいていの人は、難しい問題(ハードプロブレム)の中でも一番難しいのは意識の問題だと考えていて、その点では私も同意見だ。しかし意識的経験には、私たちが直接知覚できるという強みがある。
あなたも私も、意識を持っているとはどういうことかを(定義上)つねに経験している。しかし、生きているとはどういうことかを直接感じることはけっしてない。生命はほかのあらゆるものと同じく、私たちの意識的経験をすり抜けてしまうのだ。
生命のどのような特徴が普遍的であるかに関して、統一した見解はない。それどころか、生命は存在するか否かや、解くべき問題が存在するか否かに関してすら、幅広い同意には至っていない。
しかも、生命は存在しないと唱える人たちのあいだでも、自分たちは何が存在しないと訴えているのかに関して、意見は一致していない。生命という概念の定義はあまりにも心許ないのだ。



















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