「生命の起源」その解明の鍵を握るものとは何か 分子の構成ばかりを研究しても謎は解けない

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生命と相関した化学物質に焦点が絞り込まれてしまったせいで、何十年もの努力にもかかわらず、生命の起源の解明はさほど進んでいない。

そこで次のような疑問が出てくる。生命のすべての特徴を安易に一つにまとめてしまえば、生命の起源を解き明かせるのだろうか? あるいは、私たちはもっと根源的な何かを見過ごしているのだろうか?

生命の鍵を握る問題を絞り込む

この重大局面で私が何を考えているのかお分かりの方なら、すでに私の答えはお察しだろう。そう、私たちは何かを見過ごしているのだ。新たな原理が必要というだけでなく、そもそも物理法則の書き方を考えなおす必要がある。新たな物理学が必要なのだ。

生命の鍵を握る問題を絞り込むことができれば、生命を説明できる物理理論がどのようなものになるか、それを見通すための窓が開かれるだろう。

それを踏まえてポール・デイヴィスと私は、生命の持つさまざまな側面のうち、既知の物理学や化学に還元しようとしてもどうしてもできないものは何か、それを特定することを目指した。つまり、生命に関する難しい問題の候補となる特徴を特定しようとしたのだ。

非常に簡潔に言うと、そうして得られた答えを踏まえて、私たちの関心は次のような疑問へと向いた。

「情報がどのようにして出来事を引き起こすことができるのか?」

(翻訳:水谷淳)

サラ・イマリ・ウォーカー 宇宙生物学者、理論物理学者

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サラ・イマリ・ウォーカー / Sara Imari Walker

アリゾナ州立大学(ASU)ビヨンド科学基本概念センターの副所長で、アリゾナ州立大学(ASU)の教授。生命の起源の研究により、スタンリー・L・ミラー若手研究賞を受賞。ウォーカー率いるASUの研究チームは、生命とは何かを理解する基礎理論を打ち立てることを目的とした第一級の研究所のひとつとして、世界的に認められている。

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