生命と相関した化学物質に焦点が絞り込まれてしまったせいで、何十年もの努力にもかかわらず、生命の起源の解明はさほど進んでいない。
そこで次のような疑問が出てくる。生命のすべての特徴を安易に一つにまとめてしまえば、生命の起源を解き明かせるのだろうか? あるいは、私たちはもっと根源的な何かを見過ごしているのだろうか?
生命の鍵を握る問題を絞り込む
この重大局面で私が何を考えているのかお分かりの方なら、すでに私の答えはお察しだろう。そう、私たちは何かを見過ごしているのだ。新たな原理が必要というだけでなく、そもそも物理法則の書き方を考えなおす必要がある。新たな物理学が必要なのだ。
生命の鍵を握る問題を絞り込むことができれば、生命を説明できる物理理論がどのようなものになるか、それを見通すための窓が開かれるだろう。
それを踏まえてポール・デイヴィスと私は、生命の持つさまざまな側面のうち、既知の物理学や化学に還元しようとしてもどうしてもできないものは何か、それを特定することを目指した。つまり、生命に関する難しい問題の候補となる特徴を特定しようとしたのだ。
非常に簡潔に言うと、そうして得られた答えを踏まえて、私たちの関心は次のような疑問へと向いた。
「情報がどのようにして出来事を引き起こすことができるのか?」
(翻訳:水谷淳)
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