〈私鉄の株価に明暗〉5月に「京王」「京成」が急落、一方で「西武HD」は上場来高値を6月に更新

内需関連銘柄として注目を集める大手私鉄。ところが「セル・イン・メイ(5月に売れ)」の相場格言のごとく、5月以降は株価が大荒れとなっている。
顕著なのは、東京中西部に路線を持つ京王電鉄と、東京と千葉、成田空港を結ぶ京成電鉄の2社だ。ともに新たな中期経営計画を5月に発表した後、株価が急変した。
京王は5月12日に2024年度決算とともに新中計を公表した。これを受けた翌13日、株価は窓を開けて大幅に下落し、終値は前日比9%安の3581円となった。
京成は5月21日にグループ中計を発表。翌22日の株価は振るわず、終値は前日比11%安の1365.5円だった。
株式市場は何を疑問視したのか
「かなり頑張った数字を出したのに、がっかりだ」。京王の社内からは新中計発表後の市場の反応に対し、不満の声が聞こえてくる。
実際、打ち出した新中計は充実した内容と言える。2030年度までの6年間累計で、総還元性向50%を目安に株主還元を積極化する。具体的には、配当を厚くし、自己株式の取得も機動的に実施する方針だ。
一方、6年間の総投資額は1兆1400億円に上り、そのうち2400億円を沿線の大規模開発に振り向ける。調布市の京王多摩川駅周辺で大型複合施設の開発などを進める。

資本効率を意識した経営も掲げた。交通、不動産、ホテルといった事業ごとのROA(総資産経常利益率)目標を掲げた。「鉄道会社としては珍しい」(大手私鉄の幹部)ことだ。2024年度に4.8%だった連結全体のROAは、いったん低下するものの2030年度には4.5%以上を目指す。
では株式市場は何を疑問視したのだろうか。それは利益計画の伸びの弱さだろう。
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