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「仕事がなくなる。再編か、新規事業をやるかだ」 武蔵精密が挑むエンジン部品会社からの脱却

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武蔵精密工業は4輪や2輪のエンジン部品が中心。大塚浩史社長は「なくなる領域はどうしようもない」と覚悟を決めて、新規事業や新規顧客の開拓に力を入れてきた(記者撮影)

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ホンダ系列の武蔵精密工業はギアなど4輪や2輪のエンジン部品を中心に手がける。EVシフトの影響を大きく受ける一方で、既存技術を生かした部品で電動車向けの受注を続々と獲得。世界のベンチャー企業に積極的に出資し、新たな領域の開拓にも意欲的だ。「エンジン部品の仕事はなくなる」と言い切る大塚浩史社長に聞いた。

2輪用トランスミッションでは世界最大

――エンジン部品が主力だった中でEVシフトに対してどのような領域を攻めていきますか。

われわれは4輪と2輪の部品を手がけている。4輪について言えば、EV化の成長領域は決まっている。減速機構部品が主だが、サスペンション部品にもニーズがあることがわかってきた。EVは車体が重くなりどうしてもサスペンションに負荷がかかる。強度を増すには大型化すればよいが、スペースを取るため大型化はしたくない。そこにニーズを見いだし、小型化・高耐久性の部品を開発してアピールしている。

2輪では、われわれが世界最大のトランスミッション(変速機)のサプライヤーだ。アジアを中心に20~30年にわたるネットワークの蓄積があり、現地生産のノウハウを持っている。電動2輪向けにギアボックスにモーターも組み合わせた小型ユニット(駆動装置)を新たに手がける予定だ。

――地域で見ると拡販戦略をどのように考えていますか。

既存の地域で伸ばしたいのはインドだ。ASEANも伸びてくるが、インドは政府が2030年までに2輪のEV比率を80%まで高める目標を掲げている。達成できるかどうかは別としてこれから2輪EV市場が伸びてくるはずなので、しっかり取り込んでいきたい。生産能力の増強も今後は積極的に仕掛けていく。

新しい地域ではアフリカだ。今年ケニアに行ったが、以前に訪れたときに比べて高層ビルも建ち始め、道も整備され始めている。治安も改善に向かっており、経済発展を感じている。一方、ガソリンスタンドが充実しているわけではない。

4輪はインフラ整備が大変だが、2輪は自宅で充電もできる。内燃機関車をすっとばして、EVが普及する可能性は十分にある。依然として政治や治安の問題はあるが注視している。

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