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EV時代は「スイッチ」もなくなるかもしれない 東海理化社長が「脱トヨタ、脱系列」を掲げる訳

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EVシフトが急激に進む自動車業界。対応を迫られているのは完成車メーカーだけではない。自動車部品や素材などのメーカーはもとより、設計エンジニアリングなどの技術系企業、販売業者まで変化と無縁ではいられない。 主力事業を失う、技術が通用しなくなるなど、危機であると同時に新しいビジネスが広がるチャンスでもある。自動車ピラミッドはどこに向かうのか――。

東海理化の二之夕裕美社長(撮影:永谷正樹)

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スイッチ類を手がける自動車部品メーカーの東海理化は長年、トヨタ自動車系部品メーカーとして存在感を示してきた。にもかかわらず、「脱トヨタ、脱系列を進めなければならない」と語る二之夕裕美社長に聞いた。

スイッチがゼロになっていく危機感

――エンジン関連の部品メーカーとは異なり、主力事業のスイッチはEVになっても影響が少ないのではないでしょうか。

EVシフトに対して、スイッチは影響を受けないだろうと言われる。しかし、テスラや中国のBYDといった新興EVメーカーでは、インテリアにiPadのようなタッチ画面を使うことがスタンダードになりつつある。

従来はコックピットにたくさんのスイッチがついているほど高級車だった。だが、この先はスイッチがゼロになっていく危機感を持って、スイッチに代わるモノを必死に探している。

――スイッチそのものがなくなりかねない、と。

ただ、自動車メーカーからはタッチ画面には操作性が悪い部分があるとも聞いており、スイッチは一定程度残ると考えている。スイッチ事業をしっかりやることは変わらない。

電気信号で制御するシフトバイワイヤは東海理化の戦略商品だ(写真:東海理化)

一方、「スイッチ」という機能が、ハードとしての「ボタン」や「レバー」で提供されるのか。この先主流となるのは、「音声」や「ジェスチャー」かもしれない。

すべてのニーズに応えられるように技術開発は欠かせない。自動車メーカーのニーズはまだ固まっていないが、固まる前にわれわれから提案しないといけない。

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