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日産系ジヤトコ社長「生産をゼロから見直す」 変速機メーカーがeアクスルに託すEV化の活路

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EVシフトの影響があるのはエンジン関連企業だけではない。需要の変化を通じて自動車産業にかかわるあらゆる企業に影響を及ぼす。それは危機であると同時にチャンスでもある。自動車ピラミッドはどこに向かうのか――。

エンジンに次いでEV化の影響が大きい部品の1つがトランスミッション。ジヤトコの佐藤朋由社長は、培ってきた技術を生かし「eアクスル」に本格参入することに活路を見いだす(記者撮影)

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日産自動車の子会社、ジヤトコはエンジンのパワーをタイヤの回転に伝えるトランスミッション(変速機)の大手。中でも無段階で変速し、スムーズな加速・減速を可能にする(CVT)自動変速機では世界首位である。一方、トランスミッションはEV(電気自動車)では使われなくなる部品の1つでもある。EVシフトにどう対応するのか、佐藤朋由社長に聞いた。

8年前、「eアクスル」に本格的に取り組むと決めた

――EVシフトの影響をどのように見ていますか。

変速機は大きな影響を受ける。EVになるとなくなっていく。そのことは見えていたので、どのように対応するか、ずいぶん前から議論してきた。結果、モーターにギアとインバーターを組み合わせた「eアクスル」という部品に本格的に取り組むことを決めた。8年前のことだ。

それから日産への働きかけを強くしたり、モーターとインバーターは持っていないので供給してくれる会社を探すなど動き始めた。新車計画は4年くらい前から始まるので2世代先の車の開発にどう入っていくのか研究開発に取りかかった。

――8年前から準備してきて、EV化の進み具合は想定どおりでしょうか。

予想より早くEVが来ている。特に中国は早すぎる。バッテリーのコストが高いので顧客に受け入れられるコストになるには時間がかかると思っていた。ところが、政府の支援があるからかもしれないが、驚異的に安く作れている。われわれはあのレベルのコストにはなかなか到達できない。

モーターにギア、インバーターを組み込んだ「eアクスル」。EV時代での主力製品として期待している(記者撮影)
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