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「儲かっているうちに事業転換できる会社はない」 日本特殊陶業・川合社長が語るEVシフトの本音

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やらずに死んでいくよりは、やってみて、試してみるほうが、次の世代に実績を残せる。

EVシフトで主力事業が減っていくことは間違いないが、アフターマーケット向けはすぐにはなくならない。高収益な企業であるがゆえの構造転換の難しさを痛感している(撮影:尾形文繁)

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 EVシフトに揺れる自動車業界。エンジン点火用スパークプラグと排ガス用センサーを中心に、売上高の約8割を内燃機関向け事業が占める日本特殊陶業にとって非内燃機関事業の育成が最大の課題だ。非内燃機関の売上高比率を2025年に25%、2030年に40%、2040年には60%とする目標を掲げて、新規事業の育成に力を入れてきた。
一方、今年7月にはデンソーのスパークプラグ事業と排ガス用酸素センサー事業の譲受に向けて協議開始で基本合意したほか、東芝買収にも参加している。その狙いはどこにあるのか、川合尊社長に直撃した。

主力部品が減っていくことは間違いない

――EVシフトが叫ばれるようになって何年も経ちます。現実のスピード感をどのようにみていますか。

2014年頃にマスコミが言っていたよりも現実のEVシフトは遅いが、事業者としては想定よりも速い。もっとも、インフラやバッテリーの問題があるため、ここ1年ほどは風向きが怪しくなってきていたとも感じている。

――EVシフトにブレーキがかかる、と?

EVシフトが進むことは確実で、当社の主力部品が減っていくことは間違いない。内燃機関から非内燃機関に事業構造を転換していかないといけないし、取り組んでもいる。

ただし、内燃機関は新興国ではまだ増える。(関連部品の)供給義務を誰かが担わなければならず、それは当社がやるべきだろう。内燃機関と非内燃機関の両方の事業に力を入れないといけないのが難しい。

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