うっかり「百億円の新規事業」を潰す大企業の論理 図を描いて経営を考えることで見えてくるもの
経営において、目の前のファクトや数字を見ることは重要である。ただし、そこだけを見ていると近視眼的になりすぎてしまい、長期的あるいは大局的な判断を誤ることもある。そうした事態を避けるためには、図を描いて考えることが有効だ。外資系の事業会社やコンサルティングファームを経て、いまはビジネススクールで教鞭をとり、『武器としての図で考える経営』を上梓した筆者が、経営について図を描いて考える重要性について、例を挙げて紹介する。
大企業において、新規事業を立ち上げる場合には、様々な困難があります。「新しいアイデアが無い」「思った通りにことが運ばない」「既存の事業からの支援が得られない」といった困難が、その典型的な理由でしょう。
あるいは、大企業であるが故に「手持ちの資源を使おうとして、逆にコスト高になる」「意思決定のスピードが遅くなる」など、大企業ならではのデメリットが生じてしまうことも多いものです。
100億円の新規事業の継続の是非を検討??
しかし大企業内での新規事業には、それより深刻な問題が存在します。それは、ようやく立ち上がり始めた新規事業の息の根をみずから止めてしまう「死の谷」が存在することです。
ある数兆円規模の優良企業の新規事業開発責任者から、こんな話を聞いたことがありました。
「過去数年間で、ゼロからある事業を立上げ、利益も生み出している売上100億円程度の事業を創った。けれど、その事業の継続の是非が社内で検討されている……」
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