〈悩ましい2位株主〉ソフト99コーポレーションのMBOにエフィッシモが対抗TOB、「KeePer技研」が応募するのはどっち?

創業家がMBO(経営陣が参加する買収)をしようとしたら、アクティビストに「待った」をかけられる――。
カー用品製造販売のソフト99コーポレーション(以下、ソフト99)が進めているMBOも、近時増えているそのような事案の代表格だ。世間の注目はもっぱら対抗TOB(株式公開買い付け)で待ったをかけたエフィッシモ・キャピタル・マネジメントとの攻防に集まっている。
だが、このディールでとんでもない幸運を手にしようとしている企業がある。ソフト99の第2位株主で自動車コーティング剤大手のKeePer技研だ。
42億円で取得した株が110億円に大化け
同社が突如、ソフト99の12.07%もの株式を取得したのは今年3月10日。運用会社のシンプレクス・アセット・マネジメントが保有していた株式を市場外取引で取得した。取得時に提出した大量保有報告書では、「調達・開発・販売の各面におけるシナジーの最大化」を保有目的としている。
取得単価は当時の市場価格と同じ1株当たり1582円で、総額は約42.5億円となる。総資産192億円、営業利益61億円(いずれも2024年6月期)という規模のKeePer技研にとって、決して小さな買い物ではなかったはずだ。
ところがその5カ月後、“奇跡”が起きた。ソフト99の創業一族である田中秀明社長の設立した堯アセットマネジメント(以下、堯AM)が1株当たり2465円でMBOのためのTOBを8月7日から実施すると公表。これによりKeePer技研の保有株の価値は総額66億円にハネ上がった。
さらに9月16日には、PBR(株価純資産倍率)1倍を下回る割安な価格でのMBOに異議を唱えたエフィッシモによる対抗TOBが始まった。エフィッシモが提示している買い付け価格は1株当たり4100円。KeePer技研は総額110億円で処分できる可能性も出てきたのである。

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