
粟田貴也(あわた・たかや)/トリドールホールディングス 社長兼CEO。1961年生まれ。神戸市外国語大学中退。アルバイトで起業資金を貯め、85年に焼き鳥店「トリドール三番館」開業。90年トリドールコーポレーション(現トリドールHD)設立。2000年に「丸亀製麺」1号店出店(撮影:尾形文繁)
7億人の巨大市場を擁し、世界の製造ハブの役割も担う東南アジア。一方、トランプ関税や民主化後退など地政学リスクも顕在化している。本特集では岐路に立つ地域の実相に迫る。
インドネシアなど東南アジアを中心に、海外での出店を拡大する丸亀製麺。その成功の秘訣について、運営会社トリドールホールディングス(HD)の創業者、粟田貴也社長兼CEOに聞いた。
可能性に満ちた国
──海外進出の初期段階でインドネシアを選んだのはなぜですか。
中国を除けば、アジアの中で非常に可能性に満ちた国と捉えていた。人口最大のインドネシアで成功することが(今後の東南アジア展開の)前提として重要であった。
──インドネシアはイスラム教徒が約9割と多く、食文化も日本と大きく異なります。
ハラル(halal イスラム教の戒律に従った〈食物〉)対応をして日本のうどんの味を再現することは、非常に難しかった。
うどんの味の決め手はしょうゆ、かえしだ。一般的なしょうゆは製造の段階で発酵時にアルコールが発生してしまうので使えなかった。そのため、アルコールが発生しない製法のしょうゆを使用している。
われわれの好む味のしょうゆを使えないことは大きなハンディだったが、日本から送り込んだ人材が味を近づける努力をしてくれたので、今の成功がある。
──店舗数は100店舗を超えており、展開に成功しています。
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