
田村優衣(たむら・ゆい)/みずほ銀行 産業調査部アジア室 主任エコノミスト。アジア・パシフィック地域のマクロ経済・政治・金融政策を担当。大阪大学経済学部卒業後、2017年にみずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社。22年10月から現職(シンガポール駐在)
7億人の巨大市場を擁し、世界の製造ハブの役割も担う東南アジア。一方、トランプ関税や民主化後退など地政学リスクも顕在化している。本特集では岐路に立つ地域の実相に迫る。
──直近の東南アジア経済の動きをどう見ていますか。
各国によって違いはあるが2025年1~3月期は比較的堅調だ。地域全体のこれまでの平均的な経済成長率である4~5%を維持、あるいは上振れている国もある。
ただ、この堅調さはトランプ関税前の駆け込み輸出が要因だ。下期は関税影響により、成長率の減速を予想している。6月末時点でASEAN5の25年成長率予想は4.4%、26年は同4.7%を見込む。タイやベトナムは外需の変動の影響を大きく受けるが、内需依存度が比較的高いインドネシアやフィリピンへの影響は相対的に小さいとみられる。
産業構造の転換が求められている
──外部環境の変化に、各国はどう対応していますか。
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