不毛なトランプ関税による混乱や政府職員削減で大混乱、いよいよアメリカの景気後退懸念が高まってきた
こうした状況下、アメリカでは、トランプ政権の政策で景気が刺激され、ドル高が進むという市場の観測は、急速に後退しつつある。
株価や強いドルの元での健全な金利上昇に期待したトランプトレードは姿を消す一方、足元ではトランプ政権の迷走で株式、債券、通貨市場すべてから資金が流出する危機にある。これは、トランプ政権が大幅減税などの景気刺激策の実施を後回しにし、関税や連邦政府支出の削減、不法移民の強制送還といった、景気を悪化させる政策を積極的に進めていることが、その背景にあるのは間違いないだろう。
その中でも、最大のリスクは、やはりインフレとFRBの金融政策だ。今のところ、ジェローム・パウエル議長をはじめ、FRB高官の多くは現時点で金融政策の変更を急ぐ必要はないと、トランプ政権の政策の影響を見極めるまでは様子見の姿勢を維持している。
利下げ環境整わなければ、不況に陥る可能性が高まる
FRBが今後年内に利下げする可能性は高いとしても市場が大いに期待しているように、景気悪化につれて利下げのペースを再び速めるかは、なお微妙だ。逆に、この先、もしインフレ圧力が改めて強まるようなことがあれば、利下げの再開が遅れるだけにとどまらず、再利上げの懸念が浮上するシナリオはなお消えていない。
10日に発表された3月のアメリカ消費者物価指数(CPI)は、前年比2.4%上昇、エネルギーと食品を除外したコア指数は同2.8%上昇と、ともに市場予想を大きく下回った。
確かに、インフレに対する懸念はひとまず後退した格好だが、関税の影響はむしろ今後遅れて表れてくることを考えれば、まったく手放しで喜べるような状況ではない。
特に、今後コア指数の伸びが前年比で再び4%を超えてくるようなことがあれば、FRBの対応も変わってくると思われる。もし、再利上げを迫られるようなことになれば、アメリカ経済はいよいよリセッションに陥る可能性が一気に高まりそうだ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら