内閣府が8月29日に公表した消費動向調査の結果によると、消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は36.7と前月から横ばいとなった。
今回の調査は調査票の回収期間が8月6~20日(基準日は8月15日)であり、7月31日の日銀の利上げやその後の円高進行と株価の乱高下が反映された結果である。これは消費者意識指標と一緒に調査される「資産価値」が、おそらく日銀の利上げとその後の株価の下落によってまとまった幅で低下したこと(5.3pt減)からも明らかである。
消費動向調査は、家計に対して「今後半年間」の見通しを調査したものであり、現時点の状況を尋ねたものではない。したがって、8月の円高を理由に先行きの「暮らし向き」などの見通しが改善する可能性はあったのだが、そのような動きは限定的だった。
「消費マインドは改善せず、資産価値は下落する」という見通しが高まったことを示す結果からは、家計は今回の日銀の利上げをあまり好感していないように見える。
「30代」の68%が日銀の利上げを評価
しかし、各種世論調査では日銀の利上げが好感されている。
8月2〜4日のNHK調査、8月21〜22日の日経・テレ東調査、8月24〜25日の産経・FNN調査のいずれも「評価する」が優勢だった。
この背景として1つ考えられるのは、資産価値が下落する可能性が高まったことが、かえって家計に好感された可能性である。世論調査では非富裕層が多数派で、資産価値の下落見込みがむしろ好感された可能性があると、筆者はみている。
このように考えたのには、1つの根拠がある。それは日経・テレ東の調査の結果について日経新聞が「世代別にみると『評価する』の割合が最も高かったのは30代の68%だった」と示したことである。
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