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日銀はなぜ利上げで銀行への利息払いを増やすのか?もはや教科書通りではない金利誘導、付利は「銀行への補助金」ではなく大規模緩和のツケ

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大規模緩和を経て、日銀の利上げの手法が変わった(撮影:今井康一)
※本記事は2025年6月15日7:00まで無料会員は全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

日銀が大規模緩和を解除して1年以上が経過した。この間、政策金利は0.5%まで引き上げられた。

トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争で先行きの不確実性が高まったことから利上げ路線は中断しているが、大幅な課税が回避されて不確実性が後退すると、改めて利上げ路線に復する公算が大きい。

ここでは、技術的な話となるが、かつてと比べて金利誘導の実情が大きく変わったことを解説したい。日銀当座預金が膨大に存在する下で、金利誘導の手法は一変している。

教科書的な公開市場操作(オペ)ではない

日銀は昨年3月に大規模緩和を解除し、政策金利(無担保コール翌日物=以下では単に金利と記す)を0~0.1%とした。そして昨年7月に0.25%に引き上げ、今年1月に0.5%にした後、現在に至っている。

伝統的な金利誘導を教科書的に記述するなら、公開市場操作(オペ)で金利を上げ下げする、となる。「利下げ」は「買いオペを行って資金を供給して金利を下げる」、「利上げ」は逆に「売りオペで資金を吸収して金利を上げる」となる。

この記述に沿って昨年来の利上げプロセスを思い描くと、売りオペを重ねて資金を吸収し、金利を引き上げた、というイメージになるだろう。

ところが、実際には前述したような金利誘導のためのオペは行っていない。

日銀が行ったのは当座預金残高に付利している金利水準を変更しただけだ。当初は「0.1%」、そして「0.25%」、次に「0.5%」である。当座預金に付利する金利の数値を誘導したい水準に単に変えただけ、と言ってもいいだろう。

かつては買いオペ、売りオペを積極的に駆使して金利を誘導していたが、現在は付利する金利を単に高くする、という操作で利上げが可能となっている。

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