こうした抜け感のある内装にも、客層や利用動機の変化が確認できる。
チムニーによれば、昨今は会社の宴会需要が激減した一方で、ママ友同士や地域のご近所さんで予約するパターンが顕著だという。そうした来店客の一定数は、子供連れやノンアルで済ませたい客も含まれる。
いわば居酒屋に馴染みがなかったユーザーにとって、どこか暗く閉鎖的なたたずまいは、“居酒屋らしいイメージ”が付きまとい敬遠されがちだった。

注文されなくなった「枝豆とポテトフライ」
「コロナ禍以降、チェーンのファミレスや喫茶店でも、いわゆる“ちょい飲みセット”のような形式で、お酒を出す業態が増えました。ここ最近は、酒類を提供する居酒屋と、食事を提供するそれ以外の業態の垣根が、希薄になっていると感じています。
だからこそ居酒屋にも、ノンアルユーザーや地域のコミュニティつながりの団体、ママ友同士で訪れる習慣が定着しつつあるのかなと。
宴会の注文を見ても、ソフトドリンクを頼む方が何人も混じる光景が当たり前になり、頼む料理の傾向にも変化が見られました。一昔前であれば、はなの舞で最も出数の多いメニューは“枝豆やポテトフライ”だったんです。1杯目はとりあえずみんな生ビールを頼んで、併せて枝豆やポテトフライも頼む。こうした飲み会の様式が確立されていたわけです。
それが昨今では、ファーストオーダーからチャーハンや焼きそばを頼み、おのおのが好きなものを気兼ねなく注文する傾向が目立つようになりました。
世間の動向が変化すれば当然、お客さんの層や行動様式、来店動機にも動きが見られます。そう考えれば、いまは店内も明るく開けた方が寂しくないし、楽しく飲める雰囲気が醸し出されるので、集客が見込みやすいと考えています」(寺脇氏)
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