〈インタビュー〉宇宙ベンチャーispaceが「株価安値圏での大型増資」。野﨑CFOが語る「もっと早期に十分な資本増強をできなかった理由」とは
 
――公募や第三者割当を併せると大型の増資になりました。
2027、28年に打ち上げを予定している「ミッション3」と「ミッション4」の開発から打ち上げまでを含めた資金を取り切りたかった(今回の最大調達額182億円のうち「3」に47億円、「4」に94億円を充てる予定)。
だが、その結果として相応に株式の希薄化を起こす。既存株主にご迷惑をおかけすることになる以上、増資の内容は最大限、意味のあるものにしたいとも考えた。
政府との関係は改めてハイライトされる
――大きなポイントは第三者割当増資の引受先でしょうか。政府の出資する成長支援ファンドや日本政策投資銀行(DBJ)といった政府系、さらに月面での水資源の探査・処理・活用に向けてispaceと協業する高砂熱学工業、栗田工業でした。
政府系に関して言えば、政府の補助金がこれから大きなカギになる。すでに「4」でSBIR(スタートアップを支援する中小企業技術革新制度)の補助金120億円の交付決定を受けている。「6」では第2期の宇宙戦略基金(宇宙産業を育成するために政府が設立)から200億円規模の補助金をぜひ獲得したい。
政府との関係は改めてハイライトされてくる。今回の増資も含めて、政府とのつながりを強くすることは非常に大事だ。
高砂熱学工業と栗田工業の2社については、すでに当社との関わりも強く、宇宙での実績もある。将来、月面の水資源循環技術の確立等に向けた取り組みを進めていくうえで「お互いに強いコミットメントを持ってやっていく」という意味で出資していただけた。
――「2」が月面着陸に失敗して「3」の打ち上げはまだ先。第三者割当の引受先は、市場に安心感を与えるという意味で大きかったのでは。
安心感につながったのは間違いない。また、最大182億円もの大型調達になるとはいえ、そのうち第三者割当増資の分は中長期的にお持ちいただくものとなる。つまり市場に出てくる株式は、実際には182億円分もない。希薄化への懸念に対して、一定程度は好感されたと感じている。





 
         
         
         
        
       
         
         
         
         
         
         
         
        













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