〈宇宙ベンチャーの試練〉ispaceが月面着陸「2度目の失敗」で株主が直面する「避けたいシナリオ」

民間企業ではアジア一番乗りでの月面着陸成功を目指した、宇宙ベンチャーのispace(アイスペース)。6月6日の明け方に挑んだ2回目の挑戦「ミッション2」は、また失敗に終わった。
月面に近づくまでに十分な減速ができず、激しく衝突したとみられている。原因の詳細は解明中というが、高度測定システムに問題が生じた可能性があるという。
袴田武史CEO(最高経営責任者)は同日の会見で「2回目の失敗なので、重く受け止めたい」と述べつつ、「この結果を生かして、(2027年に予定している)『ミッション3』『ミッション4』につなげていくことが重要だ」とも語った。
また財務面への影響を聞かれた野﨑順平CFO(最高財務責任者)は、「急速に財務状況が悪化し、会社の存続が難しくなるような状況ではない」と述べた。
「今後の資金確保」をどうする
ペイロード(荷物)の月への輸送契約の多くには、基本的に返金義務がない。失敗により一部顧客からの売り上げが最大で2億3800万円なくなる可能性はあるというが、約1600万ドル(約23億円)のペイロード収入の大半は計上できる見込み。
「3」の資金を確保する増資も、昨年10月から今年3月にかけて実施。約70億円を調達済みだ。
しかし、これから先の資金確保という点では、ネガティブな影響が懸念される。そこには「2」の失敗だけでなく、5月9日に発表された、「3」の打ち上げ延期が複合的に絡んできそうだ。
「株価低迷の最中に大型増資を実行」――。そんな株主にとっては避けたいシナリオが現実になるおそれも否定できない。
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