当然、営業時間の繰り上げとともに、採算が取りづらくなる店舗は撤退を迫られる。とりわけ100坪以上の大箱を主としていたはなの舞では、大人数の予約が確保しづらい状況は大打撃だった。
店舗数は最盛期である2013年の370店舗から、コロナ前の2019年にかけて約260店舗に、そして2025年8月時点では93店舗にまで縮小している(運営元のチムニー全体の店舗数で見れば、2014年の707店舗から、2019年の713店舗、2025年8月末時点では463店舗まで減少)。
「顕著なのが、宴会1組あたりの人数の減少です。コロナ禍以前は平均16名程度だったのが、コロナ以降は8~10名に減少。売り上げ全体の中で占める宴会の構成比も、コロナ以前は3割前後でしたが、現在は約2割となっています。
コロナ禍の影響を受け、はなの舞は200店舗近くを閉店、その大半が100坪以上や空中階の店舗でした。現存するお店でも、10名以上が座れる掘りごたつの卓数を3列から2列に縮小し、余った1列分をフリーのボックス席に替えるなど、採算が取れるよう改装を進めています」(寺脇氏)
刺身3種盛合せは税込1648円
話だけ聞けば、居酒屋業態の衰退は寂しく映るが、訪れたターミナル周辺の店舗はそれなりににぎわいを見せる。
来訪時に注文した料理は、どれも値段相応でクオリティも高かった。
「刺身3種盛合せ(税込1648円)」は厚さ1cm近くに切られたブリやマグロを堪能でき、「かにといくらのこぼれ巻き寿司(税込1399円)」はいくらとカニのフレークが盛り付けられ見栄えも良い。「南蛮海老の唐揚げ(税込599円)」は丸揚げでも臭みを感じず、磯の香りと塩気でお酒が進む。

2人で料理6品、ドリンク4杯に、お通し400円が加わり、会計は7425円。平均客単価は3300~3800円に落ち着いているそうだ。「馬刺しユッケ(税込799円)」など若干割高に感じるメニューはあれど、客入りを踏まえれば価格帯に合った高品質な路線を保っているようだ。
また、店内を俯瞰して気づいたのが、レイアウトが開放的で、照明も明るくなっている点だ。かつて大箱の総合居酒屋といえば、引き戸がある半個室タイプに、照明を落としていた印象が残る。それが直近の来訪時は、他の卓やカウンター奥の厨房も一望できるような設計に様変わりしている。
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