眼鏡JINS、創業者から代替わりで狙う「世界一」の座 創業者の"40歳長男"が新社長へ…海外展開加速へ投資強化、銀座と新宿にグローバル旗艦店も

「田中仁(ひとし)がJINSを作ってゼロをイチにした。それを100にする。単一ブランドで世界ナンバーワンのアイウェアブランドになる」――。10月10日、眼鏡チェーン「JINS」を展開するジンズホールディングスの田中亮(りょう)副社長COO(40)は力強く宣言した。
この日はジンズHDの本決算説明会だった。同社は11月の株主総会を経て、創業者の田中仁社長CEO(62)が会長となり、長男である田中亮COOが社長に就任する人事を発表している。国内では業界最大手を争う水準まで成長したジンズだが、トップ交代と同時に、さらなる拡大路線を宣言した格好だ。
世界一に向けた戦略コストの中身
亮COOが掲げる世界一の基準は売上高と営業利益だ。時期や数値の明言は避けたものの、社内ではトップを達成したときの損益計算書も策定し、逆算して動いているという。
達成のポイントは国内店舗数の拡大、新たな国への進出、現場や経営の効率を高めるシステム投資だ。今2026年8月期はこうした成長投資に24億円を投じる計画とした。
まずは旗艦店。銀座と新宿にグローバル旗艦店の出店を予定しており、12億円を投じる。狙いは海外へのブランド発信で、ターゲットの1つが東南アジアだ。JINSは現在、海外で中国、台湾、香港、アメリカに店舗を展開する。フィリピンやモンゴルにはFC店があり、ベトナム出店も決めている。
「東南アジアでは『日本のブランドで、この価値のものがこの価格で買えて30分で渡してもらえる』というイメージ。競合よりも選んでもらえる自信はある。客層が少し変わるなど日本と同じではないが、ぶらさずにやる。ユニクロさんと近いと思う」(亮COO)

システム投資にも10億円を投じる。店頭の業務効率化だけでなく、各国の経営陣が売れ筋や問題点を共有するためにもデジタル化は欠かせないという。
足元の業績は非常に強い。25年8月期は売上高が前年同期比17%増の972億円、営業利益は同54%増の120億円だった。グローバル宣言の1年目となる今26年8月期は、売上高が同14%増の1116億円、営業利益は同7%増の130億円を計画している。
前提となる国内の既存店売上高は7%増収で、粗利益率も前期比1.3ポイント増の79.3%に改善を見込む一方、前述の戦略コスト24億円を計上するため、増益幅は抑えられる形だ。
日本発のブランドとして、世界戦略を加速できるか。社長を筆頭としたチーム経営の実力が問われることになる。
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