日本の漁業が「自滅」に向かっていく根本原因 資源管理制度の不備が原因で魚はもっと高額に…

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どんな魚種が減っているのか

最後に水産資源管理の記事を書いていると、以下のような疑問が寄せられるので回答しておきます。

・どの魚種が減っているのでしょうか?
(回答)上の表でご覧いただくとわかります。10年前(2022/2012)に比べるとほぼ全魚種減っており全滅状態です。マイワシとホタテガイくらいですが、増えている魚種を探すこと自体が困難です。またマイワシは変動が激しいので、過去のデータから数年経つと大きく減り始めます。その時はさらに大変なことになりますが、そう遠くない未来です。

・漁業者が減ったからでは?
(回答)誤りです。実際には資源管理制度の不備で資源量が減り、漁獲量が減って漁業者が減るという悪循環です。漁業者が減って漁獲量が減るという理屈は、沿岸漁業の極々限られた地域ではあるかもしれません。ただし、その数量は全体の漁獲量からすれば、ゼロに近いことでしょう。資源量が同じであれば、減った分は残った漁業者が漁獲できます。資源管理制度が機能しているノルウェーでは漁業者が減っても漁獲量は減少していません。あくまでも漁獲量の増減は、資源量次第なのです。

・消費量が減ったから漁獲量が減っているのでは?
(回答)誤りです。もし価格が高くなって消費が減ったという理由の場合は、資源量が減って漁獲量が減り、その結果で価格が高くなったからではないでしょうか。逆においしい魚が安定した価格で供給されていれば、消費量は減らないのではないでしょうか。どこに問題があるのか? それは水産資源管理制度の不備にあります。

海水温上昇や外国が悪いについてはとても多くのコメントをいただいています。「地球温暖化 科学者が言いたがらない日本の魚の真実」で説明しているように、影響がないとは言いませんが、誤解がとても多いのが現状です。

片野 歩 Fisk Japan CEO

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かたの・あゆむ / Ayumu Katano

早稲田大学卒。Youtube「おさかな研究所」発信。2022年東洋経済オンラインでニューウェーブ賞受賞。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。長年北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国であるノルウェーには、20年以上毎年訪問を続けてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会)、『日本の漁業が崩壊する本当の理由』他。

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