日本の漁業が「自滅」に向かっていく根本原因 資源管理制度の不備が原因で魚はもっと高額に…

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韓国市場のタチウオ(写真:筆者提供)

ギラギラと銀色に光るタチウオは、かつて東シナ海などで大漁に漁獲され、韓国・中国などでも人気の魚です。近年、三陸などで漁獲量が増えているといった報道もあります。確かに増えてはいます。下のグラフをご覧ください。まず右のグラフです。緑の折れ線グラフの宮城県はすごい伸びに見えます。しかしその数量はたったの500トンに過ぎません。

(出所)海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に対する検討会

次に左のグラフの赤丸の部分をご覧ください。右のグラフだけでは増えているように見えますが、全体からすると大した数量ではないのです。

さらに下のグラフをご覧ください。上の左のグラフは2003年(H15)からですが、この時期(H15~H19)の1.4~1.8万トンといった数量は、多い数量に見えます。

しかしながら、1950年代からの下のグラフの数量と比べると、ピーク時の1968年の6.8万トンの4分の1程度にすぎないのです。しかも、直近の2023年の全国のタチウオの漁獲量は、5400トンに激減しています。増えたといわれている三陸の分を足してもピークの10分の1以下です。これをもって海水温上昇でタチウオの漁獲量が増えたと言えるのでしょうか。

タチウオには資源管理のための漁獲枠がありません。獲れればお金になるため、漁業者はたくさん獲ろうとします。漁業が仕事なので当たり前です。獲れなくなると、ひものような細いタチウオまで獲ってしまいます。そして最後はほとんどいなくなります。こうした事態は他魚種でも同様ですが、漁業者ではなく、資源管理制度に問題があるのです。

科学的根拠に基づく資源管理が行われていない漁業の末路は同じです。獲りすぎで魚がいなくなってから、海水温上昇や外国などに責任転嫁しても何も解決にならないのです。

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