日本の漁業が「自滅」に向かっていく根本原因 資源管理制度の不備が原因で魚はもっと高額に…

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政府は魚の資源を回復すべく漁業法改正をはじめとする改革を進めようとしています。本来なら国を挙げて応援すべきなのですが、「魚が減った本当の理由」に関する誤った情報が社会に蔓延しているのが実情です。

このため、本来は科学的根拠に基づく資源管理が実施されれば、最も恩恵を受けるはずの漁業者の方々が反対してしまう事態が起きています。まるで大本営発表のような社会をミスリードする情報を改めていくことが急務です。そのための一助として筆者は発信を続けています。

魚が減ったことを景気に例えると

魚が減り続けている今の状態を企業にたとえるなら、「業績が悪いのは景気が悪いから」と主張しているのとほぼ同じです。もちろん企業業績に景気が影響するのは確かです。しかしながら景気が悪くても、環境の変化に対応して改革して生き残りをかけて必死に努力する。これが生き残っていく企業ではないでしょうか。

景気が悪いという外部要因のせいにする。しかし周りを見渡せば、同じ環境下で好成績を出している企業がたくさんあることを考えると、経営陣の責任が追及されます。ビジネスの世界では当たり前のことで、世界全体では水産業は「成長産業」です。ただし、その前提となるのは資源がサステナブルになっていることです。

景気が悪い(例:海水温の上昇や外国の影響など)という同じ環境下であっても、好成績を維持している企業(例:魚の資源が減っておらず、漁獲量も維持している国々)がたくさんあるのです。1企業(日本)だけでなく、北欧・北米・オセアニアをはじめ他国と比較すると、その問題点がはっきり出ます。

ところが日本では、世界中の水産業の状況を客観的に見ずに、近隣だけのとても狭い範囲であれこれ責任転嫁したり、自画自賛したりしてしまう傾向があります。外国の成功例を「日本は事情が違う」と言って受け入れないのでは、間違った処方箋で薬を飲んでいるのと同じで良くなるはずがありません。しかしそれが、残念ながら全国で魚が獲れなくなっているわが国の実態なのです。

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