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再び地銀再編のうねり、強まる「1県1行」の圧力 人口減に預金流出、金融庁の「対話」が再編促す

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金融庁エントランス
一巡したかにみえた地銀再編の動きが、再びうごめいている(編集部撮影)

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地方銀行の再編気運がにわかに高まっている。発火点は金融庁による「対話」の要請だ。

金融庁は、人口減少が著しい地域の地銀と「ビジネスの持続可能性」について対話を始める。生存戦略を打ち出せなければ、必然的にライバル行との経営統合が選択肢に浮上する。沈静化していた「1県1行」のうねりが再び強まるのだろうか。

金融庁が始める「対話」の真意

2月12日、東京都千代田区にある全国地方銀行協会。全国の地銀トップが一堂に会し、金融庁幹部との定例の意見交換が行われた。局長らが地域金融行政の重点施策を説明したのち、質疑応答に移った。

会も終盤に差し掛かった頃、地銀側の出席者が質問を投げかけた。「持続可能性について対話を行うようだが、どんな銀行が対象となるのか」。監督局の担当者が応じる。「人口が減少している地域や県内の金融機関数(が多い地域)を考慮する」。対話を通じて何かを示唆することはないと付け加えるも、地銀側は再編を進めたい当局の意向を感じ取った。

布石はあった。昨年8月の金融行政方針。金融庁は「ビジネスモデルの持続可能性を確保する方策について、金融機関と対話を行う」と明記した。9月や11月の定例会の場でも対話を進めることについて念を押したが、その意図や対象地銀はいま一つ不明瞭。「人口減少に警鐘を鳴らすのは、今に始まったことではない。単なるヒアリングではないか」(地銀幹部)と捉える向きもあった。

金融庁資料
金融庁は地銀に対して、ビジネスの持続可能性について対話するとメッセージを発し続けてきた(画像は金融庁資料、記者撮影)

風向きが変わったのは2025年に入ってからだ。人口減少が進む地域に地盤を置き、かつ県内に複数行が併存する地銀が対象になるという「対話」の詳細が徐々に明らかになってきたからだ。

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