三井住友建、麻布台ヒルズ住宅750億円損失の深層 「日本一の高さ」の称号を求めた代償は大きすぎた

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三井住友建設のIR担当者は、「今般の見直しによって、完成までのコストはおおむね確定している。違約金については全部織り込んでおり、協力会社とも契約できているので作業員は確保できている」と強調する。

工事は現在、修正後の工程どおりに進捗し、内装仕上げ工事や外構工事などの付帯工事を中心に施工中。すでに8割近く進捗しているという。

多額の工事損失計上を受けて、同社は社長など取締役と執行役員の報酬を12月から4カ月減額する。受注前段階における審査体制の強化や採算性にこだわった取り組みなど再発防止策を徹底する。

内憂外患を抱えて正念場

しかし、三井住友建設はほかにも内憂外患を抱えている。

今年2月にはクーデター騒ぎが顕在化。メインバンクの三井住友銀行出身で2021年から社長だった近藤重敏氏が4月にその座を降りた。生え抜きの柴田敏雄専務(現社長)と当時の会長が結託して、三井住友銀行に社長交代の容認を求める書簡を送ったとされる。

大株主には物言う株主として知られる旧村上ファンド系の投資会社がいる。現在も株を買い増しており、保有比率は20%を超えた。問題が落ち着けば株主還元や他社との経営統合などを要求してくることが考えられる。

麻布台ヒルズのマンションを無事に完成させ、経営に安定性を取り戻すことができるのか。準大手ゼネコンの雄は正念場に立たされている。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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