"月100頭出荷"の希少な豚が松屋銀座に並ぶまで。3Kイメージを覆し「みやじ豚」を育てた4代目の経営思想

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みやじ豚代表取締役・宮治勇輔さんは、月に約100頭しか出荷しない希少な豚「みやじ豚」の生産をする(筆者撮影)
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「うわっ、やわらかい」

逗子の定食屋さんで、はじめて「みやじ豚」のトンカツを口にしたとき、思わず声がでた。ヒレ肉は驚くほどやわらかく、ロースも脂っこさや臭みがなく、肉そのもののうま味が静かに広がっていく。

藤沢市のふるさと納税品にもなっている「みやじ豚」

湘南で暮らしていると、飲食店のメニューで「みやじ豚」という名前をときどき見かける。藤沢市のふるさと納税品にもなっていて、スーパーに並ぶ豚肉とは少し違う、神奈川県産の“ちょっと特別な”ブランド豚という印象を抱いていた。

おいしさのあまり、気になって「みやじ豚」について調べてみると、小さな家族経営の養豚農家が、月に約100頭しか出荷しない希少な豚であること。ストレスフリーの環境で、のびのび愛情をかけて育てられていること。さらに、生産者と消費者が直接交流できるバーベキューイベントを、20年続けていることを知った。

単なるブランド豚ではなく、その背景にある思想や仕組みこそが、このおいしさを支えているのではないか。この藤沢生まれのブランド豚の物語にすっかり惹き込まれてしまった筆者は、物語の仕掛け人である、株式会社みやじ豚代表取締役・宮治勇輔さんに会いにいくことにした。

しかし後に知ることになる。

「みやじ豚」は、規模を拡大すれば、もっと効率よく、もっと大きく稼げたはずのブランドだった。それでも宮治さんは、あえてその道を選ばなかった。

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