特集「マンション誘導――管理組合に「潜入」する者たちの正体」の他の記事を読む
「あなた誰ですか?」「この人、息子さんじゃありません」――マンションの住民有志で構成される大規模修繕委員会の席で、最近、このような言葉が飛び交うようになっている。タワー型や多棟型で、そろそろ本格的な大規模修繕が必要になった巨大マンションにおいて、とくにだ。
今年の5月から6月にかけ、首都圏のマンション内に立ち入った疑いで2人の男が神奈川県警に逮捕された。単なる不法侵入者ではない。男たちはさまざまな手法を駆使し、マンションの大規模修繕について居住者たちが話し合っている席に、いつのまにか座るようになっていた。そして話し合いを、ある方向へと導こうとしていた。マンション住民の意思を誘導しようとする彼らはいったい何者なのか。
ノンフィクション作家、山岡淳一郎氏による連載「マンション誘導――管理組合に『潜入』する者たちの正体」の第3回(最終回)は、「バカ高い工事費」に目を光らせる公正取引委員会と、苦しい立場に追いやられる業界団体の複雑な心境に迫る。
第1回
マンションに「潜入」して住民を誘導する者たち
第2回
潜入商法の怪物企業を生んだ「腐った土壌」
第3回 ブルーオーシャンのマンション修繕に「潜入」は続く(本記事)
今年5月から6月にかけ、マンションの修繕工事に携わる「東大阪の施工会社」の2人の社員が、住居侵入容疑で神奈川県警に逮捕された。1人は、「覆面調査のアンケートに協力してくれれば1万5000円のアルバイト料を払う」というチラシをマンションに撒いたのをきっかけに、応募した居住者に接触。居住者の夫のふりをして修繕委員会に加わっていた。
もう1人は、住戸を買った区分所有者(東大阪の施工会社と取引実績のあるビルメンテナンス会社代表)の息子と身分を偽り、修繕委員会に参加していた。東大阪の施工会社の関係者が住戸購入後に区分所有者として管理組合の理事会や修繕委員会に加わっている例は多数ある。
「汚れ仕事」をさせているのは誰か
どちらも住民になりすまして管理組合に潜入し、自分たちが大規模修繕工事を受注できるよう誘導したとみられる。両名は処分保留で釈放されたが、神奈川県警は「詐欺未遂」と「偽計業務妨害」の容疑で捜査を続けている。
確かに東大阪の施工会社を中心とするグループの手口は悪質だ。しかし、闇はもっと深い。筆者は、東大阪の施工会社が暗躍できているのは、その「上」も彼らの存在を知り、汚れ仕事を任せているからではないかと疑問を抱いている。
記事全文を読むには有料会員登録が必要です。
(残り 4732文字 です)
【1/31まで】 年額プラン2,000円OFFクーポン 配布中!
詳細はこちらから
無料会員登録はこちら
ログインはこちら