有料会員限定

日立の実力③ 鉄道世界大手に大躍進の裏側と野望 売上高は1兆円以上、うち8割超を海外で稼ぐ

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
拡大
縮小

国内大手から世界大手に。“キーマン”が探る鉄道事業の未来図。

英サウスヨークシャーにある車両保守基地内の様子
英サウスヨークシャーにある日立の車両保守基地。ここで高速車両の検査が行われている(写真:記者撮影)

特集「シン・日立に学べ」の他の記事を読む

史上最大の赤字を機に聖域なき改革を徹底。グローバル、デジタル、ガバナンスの面で、もはや“伝統的日本企業”とは呼べないほどの変貌を遂げた日立製作所。
日本企業は日立から何を学ぶべきか。『週刊東洋経済』3月9日号の第1特集は「シン・日立に学べ」
週刊東洋経済 2024年3/9号(シン・日立に学べ) [雑誌]
『週刊東洋経済 2024年3/9号(シン・日立に学べ) [雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

日立製作所の鉄道事業の成長が著しい。2022年度における売上高は7360億円。10年度の1502億円から12年で約5倍に増えた。

しかもフランスの防衛・航空宇宙メーカー、タレスから交通システム事業を買収することが確定的で、合算した売上高は1兆円超。東原敏昭会長は8年前の社長時代に「20年代の早い時期に売上高1兆円を目指す」と話していたが、ついに実現する。

国内同業との比較では川崎重工業の鉄道車両事業が売上高1319億円で2位、3位以下は300億〜500億円程度で、日立は頭一つ抜き出る。成長の原動力は海外。10年度は400億円に満たなかったが、今や売上高の8割超を稼ぐ。

分野別の売り上げは車両製造が6割、信号システムや保守ビジネスが4割。他社は国内向け車両製造が売り上げの大半を占めるので見ている景色が違う。むしろライバルは海外勢。日立は中国中車、仏アルストム、独シーメンスと並ぶ世界大手の一角を占める。

海外事業躍進の礎は英国

そんな日立もかつては国内の車両製造が鉄道事業の大半だった。だが、国内は新規路線の開業が少なく、既存路線を走る老朽車両の置き換え需要ばかり。成長機会は海外に求めるしかなかった。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
シン・日立に学べ
大赤字を機に生まれ変わった日立製作所に学べ
グローバル、デジタル、ガバナンスで改革を徹底
売上高わずか1000億円、取締役から相次ぐ批判
「日本企業は"モノを売る事業"から移行すべき」
5年株価上昇率はソニーを抜いて電機業界トップ
「ルマーダ戦略に合わない事業は売却も検討」
2016年の発表から3つのフェーズで進化してきた
生産計画立案から無人店舗、金融、設備管理まで
井原議長「お飾り的な社外取締役は選ばれない」
日立の"プリンス"の優勢変わらず、新対抗馬も
課長クラスで年収1000万円、仕事もハードに
「日本の原子力再編には政府の大方針が必要」
巨額の利益を生み出す"もう1つの1兆円M&A"
洗濯機&掃除機でシェア高いが単独成長は難しい
売上高は1兆円以上、うち8割超を海外で稼ぐ
地銀向け勘定系システムのシェアは14%に低下
デジタルシステム部門出身者が担当副社長に
「他社や他国では絶対に作れない製品を持つ」
DNAシーケンサー、粒子線治療システム…
ゴールドマン&野村証券アナリストの本音
半導体からバイオまで「日立関連銘柄四季報」
110年の歴史から日立「イズム」の将来を予測
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内