有料会員限定

日立の実力① 世界シェア1位「送配電事業」の威力 巨額の利益を生み出す"もう1つの1兆円M&A"

✎ 1〜 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 最新
拡大
縮小

脱炭素が追い風となり、欧州では高圧直流送電の需要が急拡大。

HVDCの設備
交流と直流を変換するためのHVDCの設備(写真:日立エナジー)

特集「シン・日立に学べ」の他の記事を読む

史上最大の赤字を機に聖域なき改革を徹底。グローバル、デジタル、ガバナンスの面で、もはや“伝統的日本企業”とは呼べないほどの変貌を遂げた日立製作所。
日本企業は日立から何を学ぶべきか。『週刊東洋経済』3月9日号の第1特集は「シン・日立に学べ」
週刊東洋経済 2024年3/9号(シン・日立に学べ) [雑誌]
『週刊東洋経済 2024年3/9号(シン・日立に学べ) [雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

今後の日立製作所を考えるうえでカギとなるのは、米グローバルロジックだけではない。「もう1つの1兆円買収」が、足元で巨額の利益を生み出している。

日立は2020年7月、スイスの重電大手ABBからパワーグリッド(送配電)事業を買収した。20年7月に株式の8割を約7400億円で取得。22年12月に残りの約2割を約2180億円で買い取り、完全子会社化した。ここに日立が抱えていた送配電事業を統合し、現在は日立エナジーとして事業を展開している。

この日立エナジーの業績が、ここに来て急激に拡大している。24年3月期は売上高から原価と販管費のみを引いた調整後営業利益で1444億円を稼ぎ出す計画で、これは日立全体の同利益の約2割を占める。円安の影響もあるが、前年同期比で463億円(47%)増と、猛烈な勢いだ。

買収をいぶかしむ声もあった

もっとも、日立が買収する前のABBのパワーグリッド事業はABB内でも収益性が低い部門で「なぜ日立はあんな事業を買ったのかといぶかしむ声もあった」(当時を知る市場関係者)という。

日立がABBの送配電事業買収を発表したのは、18年12月のこと。当時、日立は事業ポートフォリオ見直しの真っただ中で、とくに原子力や火力など発電プロジェクトからの撤退準備を進めていた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
シン・日立に学べ
大赤字を機に生まれ変わった日立製作所に学べ
グローバル、デジタル、ガバナンスで改革を徹底
売上高わずか1000億円、取締役から相次ぐ批判
「日本企業は"モノを売る事業"から移行すべき」
5年株価上昇率はソニーを抜いて電機業界トップ
「ルマーダ戦略に合わない事業は売却も検討」
2016年の発表から3つのフェーズで進化してきた
生産計画立案から無人店舗、金融、設備管理まで
井原議長「お飾り的な社外取締役は選ばれない」
日立の"プリンス"の優勢変わらず、新対抗馬も
課長クラスで年収1000万円、仕事もハードに
「日本の原子力再編には政府の大方針が必要」
巨額の利益を生み出す"もう1つの1兆円M&A"
洗濯機&掃除機でシェア高いが単独成長は難しい
売上高は1兆円以上、うち8割超を海外で稼ぐ
地銀向け勘定系システムのシェアは14%に低下
デジタルシステム部門出身者が担当副社長に
「他社や他国では絶対に作れない製品を持つ」
DNAシーケンサー、粒子線治療システム…
ゴールドマン&野村証券アナリストの本音
半導体からバイオまで「日立関連銘柄四季報」
110年の歴史から日立「イズム」の将来を予測
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内