CO2を吸収して内部に閉じ込めるコンクリート。鹿島などが生み出した新技術が大阪・関西万博の目玉に。そのメカニズムや実用化への課題とは
サステナドームの施工に際して用いられた「ECMコンクリート」(ECMは、エネルギー・CO2・ミニマム、の意味)と呼ばれる環境配慮型の素材では、従来のセメントの代わりに、高炉スラグを配合することでセメントの使用量を約3分の1に低減。まず初めに、これがCO2排出量の大幅な削減につながっている。ECMコンクリートは鹿島や竹中工務店などが、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの支援を受けて開発を進め、2014年に実用化した。
そして今回、ECMコンクリートと組み合わせたのがCUCO-SUICOMショット。こちらはCO2と反応して固まる特殊な混和材(γ(ガンマ)-C2S)を用いたコンクリートで、鹿島や中国電力、デンカなどが2008年に実用化したCO2-SUICOMと呼ばれる素材を基に技術改良したものだ。

CUCOとは、Carbon Utilized Concrete(炭素を活用するコンクリート)の頭文字から生まれた造語で、鹿島や竹中工務店、デンカなど55の企業、大学、研究機関で結成したコンソーシアムの名称として採用された。CUCO-SUICOMショットを用いることで、従来のコンクリートを用いる場合と比べて107%のCO2削減、つまりCO2の排出削減を通り越し、環境中からも吸収したこと(=カーボンネガティブ)を試験施工で確認した。コンソーシアムであるCUCOはNEDOの「グリーンイノベーション基金事業」の支援を得て、2030年までに技術の実用化を目指している。
独自のドーム技術で効率的にCO2を吸収
サステナドームの建設に際しては、もう一つの画期的な技術が採用された。こちらは「KTドーム技術」と呼ばれ、鹿島が開発したもの。ドーム型のポリ塩化ビニルの膜に空気を送り込んで膨らませ、これを型枠としたうえで内側に鉄筋を配置し、CUCO-SUICOMを吹き付けるという技術だ。屋内で施工できるために天候の影響を受けにくく、短期間での施工を可能にしている。
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